ピーター F. ドラッカー。没後10年を超えたにもかかわらず、なぜ今も変わらず世界中の人たちから注目されつづけているのだろう? その理由を探ると、今も息づくドラッカーの「3つの顔」が見えてくる。
自己実現、「強み」を活かす働き方から、時間術、果ては組織における人間関係まで、おおよそビジネスパーソンが仕事をするうえで必要な知識やスキルの多くは、実はドラッカーによって(場合によっては世界で初めて)提唱されたものだ。そう、ドラッカーは、今私たちが目にする「自己啓発」の祖の1人なのだ。
自分の「強み」を活かし、自己研鑚しつづけること。そのために使える知識や考え方を数多く残すことで、仕事をとおして成長しようとする個人に寄り添う――これがドラッカー1つめの「顔」だ。
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今やビジネスシーンにおいて、「マネジメント」という言葉を使わないことは、想像することも難しい。この言葉、累計270万部超の大ヒットとなった『もしドラ』の主人公・川島みなみが手に取った本の名前、として覚えている方も多いだろう。実は、この「マネジメント」という概念を考えた人物もドラッカーだ。
どんなチームであろうと、メンバーをまとめあげ、必ずゴールにたどり着く。そのために必要となる、組織を動かし、人を動かすための方法を教えてくれる導き手。これこそ、ドラッカー2つめの「顔」なのだ。
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ドラッカーを語るうえで欠かせない3つめの顔。それは、「予見」するドラッカーだ。誰よりも早く社会の変化を捉え、その本質を指摘する力にかけて、ドラッカーより優れた人はいないと言っていいだろう。
その「視野」たるや、驚くほどに広い。金儲け至上主義でいいのかと問えば金融危機を言い当て、社会が不安定になると何が起こるのかと問えばテロリズムの台頭を見抜く。インターネット、グローバル化、高齢化社会など、今私たちの社会が直面している課題とその処方箋を、数十年も前に、すでに指摘しているのだ。
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個人の成長、人と組織の動かし方、そして社会の変化。
ミクロからマクロまで、一気通貫に論じ、今なお道を示してくれるドラッカーだからこそ、学生、新入社員から、チームリーダー、マネジメント層、そして経営を担うトップリーダーまで、誰もが読んで「学び」を得ることができる。それがドラッカーなのだ。