断絶のクライマックスはこれからだ!
今からちょうど30年前、ピーター・ドラッカー教授は、社会と文明において根源的な変化、すなわち断絶が起こりつつあることを指摘した。それまでの継続の時代を断ち切り、20世紀の後半を形づくる可能性が大きい新しい現実が生まれつつあることを明らかにした。その断絶が、いよいよクライマックスを迎える。
情報化の進展、グローバル経済の出現、政府の無力化、知識社会と知識労働者の興隆など、かつて本書が指摘した断絶は、当時誰一人信じるものがなかったが、いまではごく当たり前になっている。当たり前なだけに、そのことを誰も不思議に思わない。
だが実は、それらの断絶はまだ始まったばかりであって、クライマックスはこれからである。「企業間の合従連衡をはじめ、今日世界的規模で進行中の産業構造の再編や、アメリカが経験中であって日欧が突入したばかりの雇用をめぐる大変動にしても、その根底にあるのは、それらの断絶である。教育とくに高等教育におけるイノベーションにしても同様である。……今日日本で顕在化しつつある政治の危機、政党の役割の低下、政府ヨの信頼の喪失も、本書で取り上げた断絶の結果である」(「日本版新版への序文」より)。
今日われわれが呆然とさせられている政治・経済・社会の大変動の意味合いも、本書を一読することによって、判然としてくる。むしろ今日のほうが、断絶の意味合いがよくわかる。なにごとも、ことの渦中にあっては見えにくい。今日のような毎日が閉塞下の乱気流状態にあるときほど、ことの始まりとその本質を知ることが大切なときはない。
読みやすい新訳によって、再び本書を世に送り出す理由は、ここにある。 |